2023年12月05日

嘘と真実

彼女に「好き」と言われれば
こちらも「好きだよ」と耳元で囁く。

ともすればそれは愛にも近い感情なのかもしれない。
お互いの目を見つめあい、お互いの体を求める。
抱擁と口づけを繰り返し、濃厚な時間を過ごす。

時に笑顔で他愛もない話をし
時に真剣な表情も見せる彼女は

たとえその短い時間の中でも
わずかに育まれる愛を感じる。

「ありがとう、またね」
「ありがとう、またね」

偽りの名前を呼び、偽りの名前に恋をする短い時間。

でも確かに一人の女性として彼女は存在する真実。
そしてその美しさと知性をもったその女性と
過ごした短いながらも愛のある濃密な時間もまた真実。


もし街のどこかで出会っても、
互いにきっと知らぬふりをする。
それがきっと彼女たちの嘘を守るためのルールだと知っているから。

扉を出てしまえば、どこにでもいる彼女に。

また僕は何かを求めてその店の扉を開ける。




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posted by bluerain at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩的小節 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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